IPOは上場企業にふさわしい内部管理体制を構築するため、全社的なプロジェクトとなります。このため、解決すべき課題は、会計・税務・システムなど広範かつ多岐にわたり、限られた時間の中で同時並行的に対応する必要があります。
当事務所では、クライアントのメンバーの一員として、上場まで充実したサポートを行ってまいります。


具体的なサービス内容

<スケジュールの立案・進捗管理>

株式上場は、ほとんどの方が未経験であり何から始めれば良いのかわからないといったことが実情です。いざ、株式上場を決意し、監査法人に短期調査(ショートレビュー)を受け、会計面を中心とした管理体制面の課題が抽出され、また、主幹事証券会社から全般的な管理体制や資本政策等についての課題の抽出やアドバイスが行われますが、具体的に会社の作業を請け負うことはございません。
当事務所では、課題の内容やボリューム、社内リソースから適切なスケジュールを立案するとともに、社内外のプレーヤーとの調整を図りながら、進捗管理をサポートいたします。

<関係会社・事業・特別利害関係者との取引の整理>

1.関係会社・事業の整理

社歴が長い会社では、経営する過程で様々な事業を展開し、複数の会社を経営している場合をよく見かけます。上場にあたり、関係会社や複数の事業を展開していること自体が問題ではなく、本業以外の会社や事業が赤字を計上し、会社グループの業績を損なっている場合には、会社グループとの関係を清算する必要がございます。
当事務所では、本業との関係や関係会社の存在意義を確認した上で、会計面並びに税務面で想定されるリスクを抽出し、関係会社及び事業の整理についてアドバイスを行います。

2.特別利害関係者との取引の整備

未上場会社では、オーナー経営者が所有する不動産を会社に賃貸している場合、金銭貸借を行っている場合、さらにはオーナー所有の別会社と会社で取引していたりする場合を見かけます。上場審査に当たっては、取引の内容や条件が妥当であるか、あるいは会社法に準拠して取締役と行う取引は株主総会あるいは取締役会にて承認を得て実行されているかが厳格に問われます。
当事務所では、上場審査上問題がないかを確認し、解消などの対応が必要な取引については対応方針及び対応方法をご提案いたします。

<資本政策の立案>

株式上場準備としての資本政策とは、株式上場時の株主構成を視野に入れながら目指す市場に応じた上場審査基準の充足し、安定株主・資金調達・創業者利益・従業員への福利厚生あるいは事業承継等を検討しながら計画することをいいます。資本政策については、実行にあたり会社法などの法的規制を充足することが前提であり、状況変化に応じて柔軟に見直しを行う必要があります。
当事務所では、クライアントの要望を踏まえた上で、複数のシミュレーションをご用意し、また状況変化に応じて必要な見直し提案を行いながら最適な資本政策をサポートいたします。

<内部管理体制の構築>

1.会社組織の整備

未上場会社では、オーナー経営者がトップダウン方式で意思決定を行っている場合が多いのが実情です。トップダウン型の意思決定で迅速な意思決定を行うことは、目まぐるしく変化する経営環境に対応して商機を逃さないといったメリットはあります。しかし、オーナー個人に依存した経営では経営体制の安定性や独善的な経営によるリスク管理がおろそかになるといったデメリットもあります。上場審査に当たっては、個人的な経営から脱却し、組織的な経営を行うことが求められ 、株主総会や取締役会などの意思決定機関の整備や稟議書等の決裁制度が構築されていることが問われます。
当事務所では、会社の実態を踏まえながら、最適な会社組織の提案並びに組織運営に当たり、整備・運用面のサポートを行います。

2.定款・諸規程・細則・マニュアル等の整備

未上場会社では、法人設立登記時に必要とされる事項を記載した定款(いわゆる「原始定款」)あるいは一部修正を加えた程度の定款は存在するものの、会社の実情に合っていない状況で放置されていることが多く、また、諸規程においても会社組織や業務分掌等が明確に規定されていない場合も多いのが実情です。上場審査に当たっては、組織的な管理が会社の実態に即して定款・諸規程等で明文化され、適切に整備・運用されているかが問われます。
当事務所では、会社の実態と上場審査において必要とされる規程体系を念頭に不足している規程の作成・現行の規程の修正を他の規程との整合性を図りながら整備し、サポートいたします。

3.経理体制・決算体制の構築

未上場会社では法人税申告書を作成するために法人税法上の定めに基づいた決算書を作成している状況をよく見かけます。上場に当たり、会社の決算は一般に公正妥当と認められた企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成し、外部監査人の監査を受けて直前期及び直前々期の決算において適正意見を入手しなければなりません。
当事務所では、外部監査人からの指摘事項を踏まえ、適切な財務諸表が作成できる体制の構築をサポートいたします。

4.中期経営計画の策定

未上場会社では1年間の利益計画のみ作成している状況をよく見かけます。しかし、投資家の目線は、短期的な視点だけでなく中長期的にどの程度の利益が見込まれ、投資に対するリターンがどの程度期待できるかによって投資判断することになりますので、1年間の利益計画だけではなく中長期的な経営計画が必要となります。また、中期経営計画は、ベンチャーキャピタル等からの資金調達の判断材料、資本政策の立案、会計上の見積りに対する評価など様々な領域に派生し、株式上場準備を進める上で非常に重要となりますので、計画作成に至った過程を明確にしながら合理的な根拠に基づいた作成することが求められます。上場審査に当たっては、作成方法や作成に至る前提、根拠などを勘案し、継続企業として上場後も継続して利益を計上できるかといった視点で審査が実施されますので、会社の利益獲得できる仕組み及びその能力が備わっているかが問われます。
当事務所では、クライアントの置かれている経営環境を確認し、上場審査に耐えうる経営計画の作成をサポートいたします。

5.単年度予算の作成

単年度予算は中期経営計画の初年度の利益計画であり、より具体的な施策から数値まで落とし込んだ単年度事業計画として作成します。昨今、新興市場においては上場してすぐに下方修正する会社があるため、上場審査に当たっては、適切な予算作成プロセスから精度の高い予算が作成しているかに加え、予算と実績を比較して適切な分析が行われているかが問われます。
当事務所では、単年度予算の作成に当たり、詳細な根拠資料から積み上げ方式で実績との比較で説明可能な予算を作成できるようサポートいたします。

6.内部監査制度の構築

未上場会社では、限られた人員のもとで経営の効率性を重視するため、内部監査自体を実施していない場合が見かけられます。内部監査制度とは会社の内部者による監査であり、専任部門が独立の立場から経営目標の達成のため、関連する法令等への合法性、経営方針や諸規程への準拠性さらには経営の効率的の観点から監査する制度です。上場審査に当たっては、形式的な整備だけでなく、少なくとも1年以上は適切な運用実績が問われることになります。
当事務所では、内部監査制度の構築に当たり監査計画、監査調書及び監査報告書の作成及び見直し、さらには内部監査の現場に同行して監査の実施をサポートいたします。

7.監査役監査制度の構築

未上場会社では、取締役会設置会社ではないため監査役を設置していない場合や設置している場合でも顧問税理士が就任している場合が見かけられます。株式公開準備会社はたとえ会社法上の大会社に該当しなくとも取締役会設置会社においては、監査役会を設置し、経営者から独立した立場から監査することが必要となります。
上場審査に当たっては、形式的な整備だけでなく、監査役として取締役の業務執行を適切に監査しているか実質面の運用が少なくとも1年以上問われることになります。
当事務所では、監査計画、監査調書及び監査報告書の作成及び見直し、さらには監査の現場に同行して監査の実施をサポートいたします。

8.内部統制制度(J-SOX)への対応

J-SOXは、金融商品取引法に基づき、財務報告に係る内部統制の評価を経営者自らが行い報告する制度であり、上場後、最初に提出する有価証券報告書とともに内部統制報告書として内閣総理大臣に提出する制度です。株式公開準備会社では、基本的に申請期がJ-SOXの適用初年度となるため、その準備は他のIPO作業と並行して行う必要があります。
未上場会社の多くは、チェック機能がそもそも存在していなかったり、チェック機能は存在するものの財務報告の視点からリスクを抽出してコントロールを設定し、それについて文書化しておらず、また、財務報告の視点でのリスク分析及びコントロールの設置は専門的な知識と経験を要することからほとんどの方が未経験であるのが実情です。
当事務所では、監査法人の意向を確認しながら、必要なフォーマット及び知識を提供し、ハンズオンで作業を行うことでクライアントをサポートいたします。

<申請書類の作成>

1.Ⅰの部作成
Ⅰの部とは、「上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)」の略称であり、各取引所において定められている有価証券上場規程を作成根拠とし、各取引所への上場申請時に提出が必要となる書類です。作成にあたり、専門的な知識や経験が必要とされることに加え、非常にボリュームのある書類であり、直前期及び直前前期に外部監査人による監査の対象となるものであるため、事前準備が欠かせません。
当事務所では、決算内容やクライアントが属する業種などを確認し、クライアントと共同しながらより適切な書類の作成をサポートいたします。

2.Ⅱの部・ JASDAQ レポート・マザーズ各種説明資料作成

Ⅱの部とは、「新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅱの部)」の略称であり、東京証券取引所本則市場への上場申請時に提出が必要となる書類です。
JASDAQ レポート とは、「JASDAQ上場申請レポート」 の略称であり、JASDAQ市場への上場申請時に提出が必要とされる書類です。
マザーズ各種説明資料とは、「Ⅱの部」の主要項目を抜粋して作成され、マザーズ市場への上場申請時に提出が必要とされる書類です。
上記の書類は、いずれもボリュームが多く、上場準備作業の中で最も労力と時間を要する書類であり、事実に基づいて記載することは当然として諸規程や取締役会議事録など提出済みの書類さらにはⅠの部との整合性を図りながら記載することが必要となります。
当事務所では、クライアントと連携し、各資料との整合性を図りながら証券審査に耐えうる資料の作成をサポートいたします。

<審査対応>

1.主幹事証券会社審査対応

主幹事証券会社審査は、上場審査基準に照らし申請会社が取引所の上場申請できるかを判断し、主幹事証券が取引所に提出する「推薦書」を作成する上での妥当性するために実施されます。このため、様々な質問書に対する書面回答する書面審査やヒアリング審査及び実地調査が行われます。特に書面審査では複数回にわたり数百問の質問が実施され、迅速かつ適切に処理することが求められます。
当事務所では、 クライアントと連携しながら期限内に適切な回答が行えるように各種関連資料の確認、責任者へのヒアリングを通して回答書の作成をサポートいたします。

2.証券取引所審査対応

証券取引所審査は、各証券取引所の有価証券上場規程に定められている「上場審査基準」に照らし申請会社の上場適格性を審査いたします。主幹事証券会社審査と同様に書面審査、ヒアリング審査及び実地調査が行われます。
当事務所では、主幹事証券審査と同様に クライアントと連携しながら期限内に適切な回答が行えるように各種関連資料の確認、責任者へのヒアリングを通して回答書の作成をサポートいたします。